2019年10月20日

技と造形の縄文世界 〜6〜

令和元年9月7日(土)〜11月4日(日)の会期で、秋季企画展『技と造形の縄文世界−形と文様にみる美の心−』を開催しています。
縄文文化の「技と造形」をテーマに、類なき造形世界≠ご覧いただきます。
企画展をより楽しんでいただくために、なじょむ&もんたが見どころを解説します!(全7回)

奇まとう器 −異形の土器−

深鉢(鍋)として登場した縄文土器は、やがて盛付用の浅鉢、貯蔵用の壺、注ぐための注口土器など、様々な機能に特化した形を獲得しました。
そして、精巧な技術・文様で形づくられていきます。
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縄文時代草創期以来、土器の装飾の多くは深鉢の器形や文様に注がれ、中期の大装飾突起で極致を迎えます。
その後、土器の多様性は深鉢以外の器種の分化や器種内変異へと軸足を移すようになり、縄文時代中期以降には不思議な形をもった土器が、地域と時期を限って出現します。

縄文時代前期になると盛付用に浅鉢・鉢が登場します。
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縄文時代中期・後期と浅鉢は定着した存在となります。

壺はさまざまな形態変化を繰り返しながら縄文時代後期に定着していきます。
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津南町の上野スサキ遺跡では、深鉢を二つ合わせた珍しい双子土器が2個も発見されています。
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浅鉢・壺と比べて形のバリエーションが最も多いのが注口土器です。
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新潟・山形県境の朝日岳山麓では、水平方向の中空のリングに注ぎ口を持ったものがみられます。

縄文時代後期初頭には、関東甲信越でも注口付浅鉢が定着します。
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一般に浅鉢は盛付具とされていますが、顕著な使用痕が見られないことからの推定です。
しかし、注口付浅鉢については、かなりの確率でスス・コゲが付着しており、煮沸具とされています。

縄文時代後期後半には、精巧な器面調整と優美な文様を持つ注口土器が展開します。
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標準的な注口土器から派生した様々な形態を持ったものを「異形注口土器」と総称します。
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環状化、双口化、身体装飾化など、共通する変形パターンが知られています。

縄文時代後期中葉〜後葉の東北を中心に、下部単孔土器と呼ばれる一群の土器が作られます。
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多くは壺の下半部分に小さい孔をうがつものですが、筒状、3段の瓢形など多様です。

縄文時代中期中葉に登場した釣手土器は、西関東・中部・北陸へと分布を広げます。
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特徴的なススの付着パターンが知られており、その化学分析から油で火を灯したと推定されています。

釣手土器は長野県栄村、富山県朝日町と県境まで発見例がありますが、新潟県内での出土例が無いことは、釣手土器を用いた特殊な儀礼が新潟には広がらなかったことを示しています。

縄文時代後期には、香炉形土器・異形台付土器と呼ばれる、鉢を覆う形態の器種が出現します。
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通常、2つの小さな注口部を持つものを異形台付土器、それ以外の大きな窓や透かしを持つものを香炉形土器と呼びます。

(7に続く)


posted by なじょもん at 16:21 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする