2019年10月11日

技と造形の縄文世界 〜2〜

令和元年9月7日(土)〜11月4日(日)の会期で、秋季企画展『技と造形の縄文世界−形と文様にみる美の心−』を開催しています。
縄文文化の「技と造形」をテーマに、類なき造形世界≠ご覧いただきます。
企画展をより楽しんでいただくために、なじょむ&もんたが見どころを解説します!(全7回)

カタチ成る礫 −石に込めた技と祈り−

縄文時代の人々にとっての石≠ヘ、生活必需品として幅広く用いられ、使用目的に応じた石の大きさや石の質などが選択されています。
ここには、用途に適応するような形に製作されたものもあれば、反対に用途と直接的に関係しない文様が彫刻されたものもあります。
なぜ用途に関係しない文様を描くのか――そこには石≠ノ対する縄文人の世界観が示されているのかもしれません。

植物加工や石器の加工道具と考えられる磨石(すりいし)・敲石(たたきいし)・石皿などの礫(れき)石器は、縄文時代になり出土量が増加します。
カタチ成る礫1.JPG
縄文時代の始まりにあたる草創期は、礫に対して彫刻や加工を施す技術がまだ発達しておらず、川原石をそのまま使用していました。
こうした磨石・敲石・石皿(台石)は、縄文時代を通じて使用される道具でした。

縄文時代前期になると、礫石器の形が大きく変化します。
成形された石皿の初期的な形態は、使用する中央部分を彫りくぼめることで、周りが「縁」状に小高くなります。
カタチ成る礫2.JPG
さらに、手前側の一部分のみ「縁」をなくし、掃き出し口が作り出されます。

カタチ成る礫3.JPG
中期後半になると複数の脚が作り出された脚付石皿などの特徴的な形態も登場します。

縄文時代中期には、礫に彫刻して文様を施す技術が登場します。
その代表が彫刻石棒と彫刻石皿です。
カタチ成る礫4.JPG
石に彫刻する技術は、非常に手が込み、かつ時間をかけます。
彫刻石棒は大形のものが多く、石材の獲得から成形するまでに大変な労力が必要となります。
縄文時代の人々にとって精神世界を示す必要不可欠な儀器でした。

元々は堅果類の加工具であった石皿にも、彫刻が施され、文様が付けられます。
カタチ成る礫5.JPG
なぜ文様を必要としたのかは不明ですが、彫刻石棒同様に大変な労力をかけていることは間違いありません。

(3に続く)


posted by なじょもん at 09:17 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする