2019年10月24日

技と造形の縄文世界 〜7〜

令和元年9月7日(土)〜11月4日(日)の会期で、秋季企画展『技と造形の縄文世界−形と文様にみる美の心−』を開催しています。
縄文文化の「技と造形」をテーマに、類なき造形世界≠ご覧いただきます。
企画展をより楽しんでいただくために、なじょむ&もんたが見どころを解説します!(全7回)


ヒトガタにみる心象世界 −多彩な粘土造形−

土偶は、縄文時代を代表する道具≠フ一つです。
しかし、私たちにはそれをどのように使っていたのか明確には分かりません。
出現当初の土偶は、頭(顔)や四肢が表現されず、最低限の表現でヒトガタをなしています。また土偶の多くは女性を表わした粘土像だと推定されています。
ヒトガタにみる心象世界1.JPG
土偶は、縄文時代約1万年の間、また弥生時代に入っても使われ続けます。
多様な造形原理と技術をもって作られた土偶は、様々な形態で表現されています。

縄文時代前期までは、顔や四肢を明確に表現せず、側面板状で薄く、胴体(トルソー)のみで構成される土偶が作られます。
ヒトガタにみる心象世界3.JPG
ヒトガタとしての表現を省略しているような土偶は縄文時代を通して認められ、特に縄文時代中期の信濃川流域の三角形土偶が顕著です。

縄文時代中期の中部高地にはポーズ土偶≠ニ呼ばれる一群が認められます。
ヒトガタにみる心象世界4.JPG
このポーズ土偶は壺を持つ%ョ作や行為を表現しています。

新潟県では、それを省略したような形の土偶が存在します。
ヒトガタにみる心象世界5.JPG

縄文時代中期初頭には津南町を中心に、体内を空洞づくりにする中空土偶≠ェ出現します。
ヒトガタにみる心象世界6.JPG
体内を空洞にする意味については、受胎や出産等と関連して胎内≠ェ意識されていたとも考えられています。
かつては内部に粘土塊を詰め、それで胎児を象徴させていたのかもしれません。

縄文時代中期前葉以降には、立像土偶が展開します。
ヒトガタにみる心象世界7.JPG
新潟県域では、およそ長岡市を境にして、北側に無脚土偶、南側の魚沼地方や上越地方には有脚土偶が認められます。
これは、土偶の造形が一様ではないことの証左でもあり、使われ方とも関わっていたと推測できます。

顔面の表現も様々で、ヒトに近いもの、ヒトからかけ離れているものなど、その種類は様々です。
ヒトガタにみる心象世界8.JPG

縄文時代晩期には、著名な遮光器土偶が新潟にも展開します。
ヒトガタにみる心象世界9.JPG
特に阿賀野市 石船戸遺跡のものは優品ですが、東北地方以外で出土する遮光器土偶は模倣されていることが多いです。
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弥生時代に近くなると土偶は使われ方が変わり、お墓に埋葬されるようになります。
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弥生時代にはさらに形を変えて、土偶が容器(納骨器)に転じます。
ヒトガタにみる心象世界12.JPG

(全7回おわり)

今回で秋季企画展の解説は終わりです。
秋季企画展「技と造形の縄文世界−形と文様にみる美の心−」は、11月4日までです。
写真では伝えきれない「縄文の技と造形」を、ぜひお越しいただいてご覧ください。
お待ちしております。


posted by なじょもん at 10:00 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月20日

技と造形の縄文世界 〜6〜

令和元年9月7日(土)〜11月4日(日)の会期で、秋季企画展『技と造形の縄文世界−形と文様にみる美の心−』を開催しています。
縄文文化の「技と造形」をテーマに、類なき造形世界≠ご覧いただきます。
企画展をより楽しんでいただくために、なじょむ&もんたが見どころを解説します!(全7回)

奇まとう器 −異形の土器−

深鉢(鍋)として登場した縄文土器は、やがて盛付用の浅鉢、貯蔵用の壺、注ぐための注口土器など、様々な機能に特化した形を獲得しました。
そして、精巧な技術・文様で形づくられていきます。
奇まとう器1.JPG
縄文時代草創期以来、土器の装飾の多くは深鉢の器形や文様に注がれ、中期の大装飾突起で極致を迎えます。
その後、土器の多様性は深鉢以外の器種の分化や器種内変異へと軸足を移すようになり、縄文時代中期以降には不思議な形をもった土器が、地域と時期を限って出現します。

縄文時代前期になると盛付用に浅鉢・鉢が登場します。
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縄文時代中期・後期と浅鉢は定着した存在となります。

壺はさまざまな形態変化を繰り返しながら縄文時代後期に定着していきます。
奇まとう器3.JPG

津南町の上野スサキ遺跡では、深鉢を二つ合わせた珍しい双子土器が2個も発見されています。
奇まとう器4.JPG

浅鉢・壺と比べて形のバリエーションが最も多いのが注口土器です。
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新潟・山形県境の朝日岳山麓では、水平方向の中空のリングに注ぎ口を持ったものがみられます。

縄文時代後期初頭には、関東甲信越でも注口付浅鉢が定着します。
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一般に浅鉢は盛付具とされていますが、顕著な使用痕が見られないことからの推定です。
しかし、注口付浅鉢については、かなりの確率でスス・コゲが付着しており、煮沸具とされています。

縄文時代後期後半には、精巧な器面調整と優美な文様を持つ注口土器が展開します。
奇まとう器7.JPG

標準的な注口土器から派生した様々な形態を持ったものを「異形注口土器」と総称します。
奇まとう器8.JPG
環状化、双口化、身体装飾化など、共通する変形パターンが知られています。

縄文時代後期中葉〜後葉の東北を中心に、下部単孔土器と呼ばれる一群の土器が作られます。
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多くは壺の下半部分に小さい孔をうがつものですが、筒状、3段の瓢形など多様です。

縄文時代中期中葉に登場した釣手土器は、西関東・中部・北陸へと分布を広げます。
奇まとう器10.JPG
特徴的なススの付着パターンが知られており、その化学分析から油で火を灯したと推定されています。

釣手土器は長野県栄村、富山県朝日町と県境まで発見例がありますが、新潟県内での出土例が無いことは、釣手土器を用いた特殊な儀礼が新潟には広がらなかったことを示しています。

縄文時代後期には、香炉形土器・異形台付土器と呼ばれる、鉢を覆う形態の器種が出現します。
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通常、2つの小さな注口部を持つものを異形台付土器、それ以外の大きな窓や透かしを持つものを香炉形土器と呼びます。

(7に続く)


posted by なじょもん at 16:21 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月18日

技と造形の縄文世界 〜5〜

令和元年9月7日(土)〜11月4日(日)の会期で、秋季企画展『技と造形の縄文世界−形と文様にみる美の心−』を開催しています。
縄文文化の「技と造形」をテーマに、類なき造形世界≠ご覧いただきます。
企画展をより楽しんでいただくために、なじょむ&もんたが見どころを解説します!(全7回)

器を超えた縄文土器の世界

深鉢形の縄文土器は、基本的にお鍋≠ニして存在しています。
約15,000年前に土器が出現し、それ以降縄文土器の機能として一貫しているのが煮沸°@能です。
器を越えた縄文土器の世界1.JPG

お鍋である縄文土器は、縄文時代中期になると、深鉢形の土器に派手な装飾と大仰な突起が付けられます。
すなわち、「器を超えた器」が出現します。

縄文時代中期の大仰な突起は、器として使用する上では使い勝手が悪く、鍋として使用するのであれば尚更です。
器を越えた縄文土器の世界2.JPG
この突起こそが縄文土器の大きな特徴で、歴史上、世界中に土器が存在している中においても、突起≠ヘ他例を見ません。
これらの突起の特徴は、4単位や3単位で巡るもの、巡らずに1単位になるなど、様々となっています。

縄文時代中期の土器文様には「物語性文様」と呼ばれる、意匠的な文様群があります。
抽象的な文様要素を器面上で組み合わせ、縦・横・斜めに配置し、人々の世界観が表現されています。

器を越えた縄文土器の世界4.JPG
新潟の土器である火焔型・王冠型土器は器面をT字状に区画し、北陸地方に由来を持つ土器は斜め45°に文様が展開します。
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精霊同士が手を繋いだような土器もあり、一見複雑な文様を持つ土器にも規則性が認められます。
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縄文土器には、時折精霊が憑依します。
中部高地では明確に土偶が付く縄文土器がありますが、津南や新潟では抽象的にしか表現されません。
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新潟に特有な三角形土偶が付くものもあります。
器を越えた縄文土器の世界12.JPG

土器と土偶が融合する、不思議な現象が起こります。
器を越えた縄文土器の世界9.JPG

他にも、土器を体躯に見立てて突起を足形にしたり、器面上に男女を描くなど、様々な表現が見られます。
器を越えた縄文土器の世界10.JPG

(6に続く)


posted by なじょもん at 07:42 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする